比が変わったら、線分図でどう解く?
AとBの量の比は5:3です。ここでAからBに20を渡すと、比が3:5に変わりました。AとBの量は、もともといくつだったのでしょうか。比が変わってしまったのに、もとの数が求められるのは、実は「変わっていないもの」があるからです。AからBに移しただけなので、AとBの合計は変化の前も後も変わっていません。この変わらない合計を手がかりに、線分図で目盛りをそろえて解くのが倍数算の考え方です。順番に見ていきます。
変化の前と後を線分図に描く
まず、変化前の比を線分図にしてみます。A:B=5:3なので、Aを5目盛り、Bを3目盛りで描きます。

次に変化後です。AからBに20を渡したあとの比はA:B=3:5なので、Aを3目盛り、Bを5目盛りで描きます。

2つを見くらべると、変化前の合計は5+3=8目盛り、変化後も3+5=8目盛りです。
AからBに移しただけなので、合計の目盛り数は変わっていません。そして、実際の合計の量も変わっていません。ということは、1目盛りの大きさも変化前と変化後で同じはずです。
ここがポイントです。合計が変わっていないから、目盛りの大きさがそろうんです。
「変わらないもの」で目盛りの大きさをそろえる
合計が同じことが分かったので、変化前と変化後を上下に並べてみます。

合計8目盛りぶんの実際の量が同じなので、1目盛りの大きさもそろっています。
ここでAの目盛り数に注目します。変化前のAは5目盛り、変化後のAは3目盛り。差は2目盛りです。
この2目盛りぶんが、AからBに渡した20にあたります。
2目盛り=20なので、1目盛り=10です。
もとの数が出ました。
- 変化前のA=5×10=50
- 変化前のB=3×10=30
確認すると、50−20=30、30+20=50なので、A:B=30:50=3:5。変化後の比とも合っています。
ポイント
倍数算の解き方
- 変化の前と後を、それぞれ線分図に描きます。
- 「変わっていないもの」(この問題では合計)を見つけます。
- 変わっていないもので目盛りの大きさをそろえ、目盛り数の差から1目盛りの値を求めます。
練習問題
【練習問題】①
AとBの比は4:3です。AからBに10を渡したら、比が3:4になりました。AとBはもともといくつですか?
タップで答えを見る
答え:A=40、B=30

変化前の合計は4+3=7目盛り、変化後も3+4=7目盛りです。合計が変わっていないので、1目盛りの大きさは同じです。
変化前のAは4目盛り、変化後のAは3目盛りなので、差の1目盛りが、AからBに渡した10にあたります。
1目盛り=10なので、もとのA=4×10=40、もとのB=3×10=30です。
【練習問題】②
AとBの比は2:3です。Aだけ12増えたら、比が4:3になりました。AとBはもともといくつですか?
タップで答えを見る
答え:A=12、B=18

今度はAだけが増えて、Bは変わっていません。そこで、変わっていないBでそろえます。
変化前のBは3目盛り、変化後のBも3目盛りで、すでにそろっています。1目盛りの大きさは同じです。
変化前のAは2目盛り、変化後のAは4目盛りなので、増えた2目盛りが、Aに加わった12にあたります。
1目盛り=6なので、もとのA=2×6=12、もとのB=3×6=18です。
発展問題
ここからは、この記事の知識だけでは解けない、少し手数のかかる問題です。
【発展問題】①
兄と弟の所持金の比は7:3です。2人とも600円ずつおこづかいをもらったら、所持金の比は5:3になりました。
(1) はじめの兄の所持金はいくらですか?
(2) おこづかいをもらったあと、兄が弟にいくらかわたしたところ、所持金の比が3:5になりました。兄がわたしたのはいくらですか?
タップで答えを見る
答え:(1) 1400円 (2) 800円
(1)
まず、変わっていないものをさがします。2人とも600円ずつもらっているので、合計は増えています。片方だけが動いたわけでもありません。ここで手がかりになるのが、2人が同じ金額だけ増えたなら、2人の差は変わっていないということです。
比を見ると、はじめは7:3で差が4、おこづかい後は5:3で差が2です。数がそろっていないので、このままでは重ねられません。5:3は、両方を2倍して10:6にしても同じ比を表します。こうすると差が4になり、はじめの比と差の目盛り数がそろいます。比を何倍かしてそろえるやり方は、連比でも出てきます。

差が4目盛りでそろったので、1目盛りの大きさも前と後で同じです。兄は7目盛りから10目盛りへ、弟は3目盛りから6目盛りへ増えていて、どちらも3目盛りぶんです。この3目盛りが、もらった600円にあたります。
3目盛り=600円なので、1目盛り=200円です。はじめの兄は7×200=1400円になります。
差でそろえてよいのは、2人に同じ金額を足しても、2人の間の開きが変わらないからです。本文では合計が変わらないことを手がかりにしましたが、変わらないものが差のときは、そろえる場所も差に移ります。
(2)
(1)から、おこづかい後の所持金は兄が2000円、弟が1200円と分かります。合計は3200円です。
今度は兄が弟にわたすだけなので、合計が変わりません。記事の本文で見たのと同じ形にもどります。
わたす前の比は10:6で、合計は16目盛りです。わたしたあとの比3:5は合計が8なので、両方を2倍して6:10にすると、合計が16目盛りでそろいます。合計3200円を3:5に分けた形なので、比例配分で出すこともできます。

兄は10目盛りから6目盛りになっているので、動いたのは4目盛りです。1目盛り=200円なので、4×200=800円になります。
確かめてみると、2000−800=1200、1200+800=2000で、比は1200:2000=3:5です。
まとめ
倍数算は、比が変わっても「変わっていないもの」を見つけるところから始まります。
AからBに移しただけなら、合計が変わりません。片方だけが増えたなら、もう片方の量が変わりません。
その変わらない量で線分図をそろえると、目盛り数の差がそのまま、移した量や増えた量にあたります。あとは差からわり算で1目盛りの大きさを出せば、もとの数が求められます。
和差算・分配算でも、「同じ大きさのまとまりを作って、わり算で1つ分を出す」という同じ流れが出てきます。倍数算も、まずは線分図をかいて、変わっていないものがどこにあるかを探してみてください。