比を使うと、測れないものが分かる
高い木の高さを知りたいとき、木に登ってものさしを当てるわけにはいきません。
そこで地面を見ると、木の影が長くのびています。影なら、地面の上を巻き尺で測れます。
木と棒では、高さも影の長さもばらばらです。ところが同じ時刻なら、どちらも「高さと影の長さの比」だけは同じになります。
この変わらない比を使うと、直接測れない木の高さが計算で分かります。
今回は、この話と、比が逆さまになる「逆比」をあわせて整理してみます。
木の高さは、影とのくらべっこで分かる
晴れた日に、木の影の中に高さ1mの棒を立ててみます。
立てる場所は、棒の影の先が木の影の先とちょうど重なるところです。

棒の影の長さは2mでした。
木の根元から棒までは4mなので、木の影は全部で4m+2m=6mになります。
ここで棒に注目すると、高さ1mに対して影が2m。
「高さ:影の長さ」の比は1:2です。
同じ時刻なら、この比は木でも同じになります。
木の影は6mなので、6÷2=3。
木の高さは3mだと分かります。木に登らなくても、影と比だけで高さが求められました。
なぜ比で求められるのか
太陽はとても遠くにあるので、地面に届く光はどれも平行だと考えられます。
光が平行だと、影のでき方(光の傾き)が、木でも棒でもまったく同じになります。
さっきの図では、棒のてっぺんも木のてっぺんも、同じ1本の光の線の上にのっています。
ここで、棒と棒の影、そして光の線をつなぐと、小さな直角三角形ができます。
同じように、木と木の影、光の線をつなぐと、大きな直角三角形ができます。
どちらも、斜めの辺は同じ1本の光の線です。
だからこの2つの三角形は、同じ形で大きさだけが違う拡大・縮小の関係(相似)になっています。
小さい三角形が大きい三角形の中にすっぽり入る、ピラミッド型の相似です。
同じ形の三角形なら、「高さ:影の長さ」の比も同じです。
棒の三角形は、高さ1mに影2mで1:2。
木の三角形も同じ1:2なので、影6mに対して高さは半分の3mになります。
逆さまになる比がある(速さと時間)
比の応用をもう一つ。今度は「逆比」の話です。
600mの道のりを、Aさんは分速100mで、Bさんは分速200mで歩きます。

かかる時間は、Aさんが600÷100=6分、Bさんが600÷200=3分です。
速さの比は、A:B=100:200=1:2。
時間の比は、A:B=6分:3分=2:1。
比の並びが、そっくり逆さまになっています。
速さが2倍になると、かかる時間は半分になります。
道のりが同じとき、速さの比と時間の比は逆になります。これが逆比です。
かけ算して同じなら、比は逆になる(面積)
逆比は、速さだけの話ではありません。
たて2cm×横6cmの長方形と、たて4cm×横3cmの長方形を並べてみます。

面積は、2×6=12、4×3=12で、どちらも12cm²です。
たての比は、2:4=1:2。
横の比は、6:3=2:1。
ここでも比が逆さまになっています。
長方形の面積は「たて×よこ」で決まるので、面積が同じなら、たてが2倍になったぶん、横は半分になるしかありません。
速さ×時間=道のり。たて×よこ=面積。
「かけ算の答えが同じ」という条件があると、2つの数の比は逆になります。
ポイント
- 同じ時刻の影では、「高さ:影の長さ」の比が、木でも棒でも同じになります
- 道のりが同じとき、速さの比と時間の比は逆になります(逆比)
- かけ算の答えが同じ2つの数(速さ×時間、たて×よこ)は、比が逆さまになります
練習問題
【練習問題】①
下の図で、木の高さは何mですか?

タップで答えを見る
答え:4m
棒は高さ1mで影が3mなので、「高さ:影の長さ」の比は1:3です。
木の影は9m+3m=12mなので、12÷3=4mになります。
【練習問題】②
同じ道のりを、Aさんは分速60m、Bさんは分速180mで歩きます。Aさんは12分かかりました。Bさんは何分かかりますか?
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答え:4分
速さの比は、A:B=60:180=1:3です。
道のりが同じなので、時間の比は逆の3:1になります。
Aさんが12分なので、12÷3=4分です。
【練習問題】③
たて4cm、横9cmの長方形と面積が同じ長方形を、たてを6cmにして作ります。横は何cmですか?
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答え:6cm
たての比は、4:6=2:3です。
面積が同じなので、横の比は逆の3:2になります。
横9cmが比の3にあたるので、比の1つぶんは9÷3=3cm、求める横は3×2=6cmです。
4×9=36、6×6=36で、面積が同じことも確かめられます。
まとめ
木の高さを影で求める話と、逆比の話を整理しました。
どちらも、「変わらないもの」に注目しているのが共通点です。
影の問題では、「高さ:影の長さ」の比が変わりません。
逆比では、「かけ算の答え」が変わりません。
変わらないものを見つけると、直接測れない高さや、まだ分からない数が計算で求められます。
比は、そのための道具として使えます。