離れた場所にある角なのに、なぜ同じ大きさなのか
2本の線に、もう1本の線が交わるとき。
その2本の線の内側で、ななめ向かいになっている2つの角(角㋐と角㋑)を「錯角(さっかく)」といいます。

錯角というのは、角の位置の呼び名です。
2本の線が平行でなくても、この位置にある角は錯角と呼びます。
そのうえで、2本の線が平行であれば、錯角は必ず同じ大きさになります。
2つの角は上と下に離れた場所にあるので、「なぜそう言えるの?」と気になるところです。
錯角の正体は同位角と対頂角の合わせ技
なぜ錯角が等しいと言えるのか。
図の中に、もうひとつの角「㋒」を置いて、2つのステップで考えてみます。

- ステップ1: 角㋐と同じ位置にある角を下の交差点で探すと「角㋒」になります(同位角は等しい)。
- ステップ2: 角㋒のななめ向かいを見ると「角㋑」があります(対頂角は等しい)。
この2ステップを通ると、角㋐と角㋒が等しく、角㋒と角㋑も等しいので、角㋐と角㋑が同じ大きさになることがわかります。
特別な新しいルールがあるわけではなく、同位角と対頂角という今まで見てきた2つの性質が組み合わさって、離れた場所の角度まで等しいと言い切れるわけです。
なお、ステップ1が使えるのは2本の線が平行なときだけです。
平行でなければ同位角が等しくならないので、その先の錯角も等しくなりません。
「Zの形」を見つければ、錯角の位置がわかる
この理屈がわかると、図形の中から同じ角度を探せるようになります。
そこで手がかりになるのが「Zの形」です。

平行な2本の線と、そこに刺さった直線をなぞって「Z」の文字を書いたとき、その内側の角にあたるのが錯角です。
Zが左右反転していても、全体が傾いていても、内側の角が錯角であることは変わりません。
角が大きいときは、Zが横に広がった平たい形になります。
図の向きが変わると見落としやすいので、Zの形を目印にすると錯角の位置を探しやすくなります。
「平行なら、向きが同じだから角の形も同じ(同位角)」
「交差した角の向かい側はいつも同じ(対頂角)」
この2つが組み合わさって、離れた場所にある角度まで同じだと言い切れます。
同位角と対頂角を先に見ておくと、錯角で新しく覚えることはほとんど残りません。
ポイント
- 錯角が等しいのは、同位角と対頂角の合わせ技だからです。
- 平行線の間に「Zの形」を見つけると、錯角の位置がすぐわかります。
練習問題
【練習問題】①
下の図で、2本の直線は平行です。角㋐は何度ですか?

タップで答えを見る
答え:45°
45°と角㋐は錯角なので、角㋐は45°です。
【練習問題】②
下の図で、2本の直線は平行です。角㋐は何度ですか?

タップで答えを見る
答え:130°
130°と角㋐は錯角なので、角㋐は130°です。
【練習問題】③
下の図で、直線①と直線②は平行ですか?

タップで答えを見る
答え:平行ではない
2つの角は錯角の位置にありますが、70°と75°で大きさが違います。錯角が等しくないので、直線①と直線②は平行ではありません。
発展問題
ここからは、この記事で見てきた錯角に、線を1本足す考え方を組み合わせた問題です。
手数は増えますが、使う道具は錯角だけです。
【発展問題】①
下の図で、直線①と直線②は平行です。

(1) 折れ点を通り、直線①と平行な直線を引くと、角㋐は上下2つの角に分かれます。上側の角は何度ですか。
(2) 角㋐は何度ですか。
タップで答えを見る
答え:(1) 35° (2) 60°
最初に見るのは、角㋐がある折れ点です。
ここを通って、直線①と平行な線を1本引きます。

直線①と補助線は平行なので、35°の角と、補助線より上にできた角は錯角の位置にあります。
錯角は等しいので、上側の角は35°です。
同じことが下でも起きています。
直線②と補助線も平行なので、25°の角と、補助線より下の角が錯角になります。
下側の角は25°です。
角㋐は、この上下2つを合わせた角です。
35+25=60なので、角㋐は60°です。
もとの図では、35°と25°は上と下の直線に分かれていて、角㋐とは直接つながっていませんでした。
折れ点に平行な線を1本足すと、上の平行線との「Zの形」と、下の平行線との「Zの形」が1つずつできて、離れていた角度が角㋐の中に入ってきます。
線を1本足して平行線を増やすこの考え方は、三角形の内角の和が180°になる理由でも同じように使われています。
角度から見つける平行線
図形問題では、直線と直線が平行だと絶対に教えてくれるわけではありません。
そんなとき、角度から平行線を見つけ出すこともできます。
「平行だから同位角や錯角の大きさが同じ」というルールは有名ですが、その逆の「同位角や錯角が等しいなら平行」も成り立ちます。

上の図で、角㋐の同位角である角㋑が角㋐と同じ大きさなら、直線①と直線②は平行です。
角㋐の錯角である角㋒が角㋐と同じ大きさのときも、同じように平行だといえます。
問題で「この2本の線は平行ですか?」と聞かれたら、同位角や錯角の位置に同じ角度がないかを探してみると、答えが見えてくることがあります。
まとめ
- 錯角は、2本の線の内側で、ななめ向かいにある角のことです。
- 角㋐と角㋒は同位角、角㋒と角㋑は対頂角なので、角㋐と角㋑も等しいとわかります。
- 「Zの形」をなぞれば、錯角の位置はすぐに見つかります。
「ただの決まり」として覚えるよりも、こうして理由をたどってみるほうが頭に残りやすいですね。
錯角のこの使い方は、三角形の内角の和が180°になる理由でも、そのまま出てきます。