3本の棒なのに、三角形ができない理由
3本の辺さえあれば、どんな長さでも三角形になりそうな気がします。
でも実際に長さを決めて並べてみると、いくら角度を変えても、角と角がくっつかないことがあります。
三角形になる組み合わせと、ならない組み合わせがあるんです。
その分かれ目をつくっているのが、「辺の長さのバランス」というきまりです。
今回は、棒を何通りか並べながら、その正体を一緒に整理してみます。
3cm、4cm、8cmの棒を並べてみたら……

長さが3cm、4cm、8cmの3本の棒を用意して、三角形を作ってみます。
いちばん長い8cmの棒を地面に置いて、その両端から3cmと4cmの棒を立ち上げ、上でくっつけようとします。
ところが、3cmと4cmの先っぽは、どこまで角度を変えても出会えません。
てっぺんにすき間が残ったまま、2本を目いっぱい内側に倒しても、あと少しのところで届かないんです。
なぜ届かないのか。最短距離は「直線」だから

届かない理由は、3cmと4cmの棒を真っ直ぐ1本に並べてみるとはっきりします。
すき間なくつなげても、4cm + 3cmで合計は7cmです。
土台の8cmまで、あと1cm足りません。
真っ直ぐ並べてすら届かないのですから、三角の形に折り曲げれば、左右のはばはさらに縮みます。
これでは、8cmの両端をつなぐことはできません。
ある点からある点へ進むとき、いちばん短くなるのは直線です。
8cmの辺は、2つの点を真っ直ぐ結んだ線です。同じ2点を、途中で折れ曲がる遠回りの道でつなぐとしたら、その道のりは8cmより長くなります。
3cmと4cmは、合わせても7cmしかありません。真っ直ぐな8cmにも足りないのですから、遠回りの道になることもできないわけです。
ちょうど同じ長さだと、三角形ではなく「線」になる

次に、足してちょうど8cmになる組み合わせを試してみます。
3cmと5cmの棒です。
3cm + 5cmは、ぴったり8cmになります。
土台の8cmと、まったく同じ長さです。
今度は3cmと5cmの先っぽが、ちゃんと出会えます。
ただ、出会う場所を見ると、土台の真上に角ができるのではなく、2本とも土台の上に倒れきって、ぴたりと重なってしまいます。
中に囲まれた場所がないので、これは三角形とは呼べません。
ぴったり同じ長さでは、まだ足りないというわけです。
だから三角形になる条件は「同じ」ではなく、「長い辺より長い」でなければいけません。
2辺の合計が長い辺を「超える」と、三角形ができる

最後に、3cmを4cmに取りかえて、4cmと5cmで試してみます。
4cm + 5cmで、合計は9cmです。
土台の8cmより、1cm長くなりました。
すると2本の棒に、土台の上で折れ曲がるゆとりが生まれます。
先っぽ同士は土台の真上でしっかり出会い、形がぴたっと閉じて、三角形になります。
合計が8cmより少しでも長ければ、2本は土台の上に倒れきらずにすみます。折れ曲がったぶんだけ、てっぺんに角ができます。
ところで、辺が3本あると、2本を選ぶ組み合わせは3通りできます。全部たしかめないといけないのでしょうか。
実は、いちばん長い辺が入っている組み合わせは、たしかめるまでもありません。長い辺に何かを足すのですから、残りの1本より短くなりようがないからです。
調べる必要があるのは、いちばん長い辺をのぞいた残り2本、つまり短い2本の合計だけです。
ちなみに、条件を満たす3本の長さが決まると、できる三角形の形は1通りに決まります。
ポイント
- 三角形ができるのは、短い2辺の合計が、いちばん長い辺より長いときです。
- 合計がちょうど同じだと、横一直線に重なってしまいます。
- (短い辺 + 短い辺) > (長い辺)、このバランスがそろってはじめて形が閉じます。
練習問題
【練習問題】①
5cm、7cm、9cmの3本の棒で、三角形は作れますか?
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答え:作れます
いちばん長い辺は9cmです。短い2本を足すと5 + 7で12cmになり、9cmより長くなります。
【練習問題】②
4cm、6cm、10cmの3本の棒で、三角形は作れますか?
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答え:作れません
いちばん長い辺は10cmです。短い2本を足すと4 + 6で、ちょうど10cmになります。長い辺と同じ長さなので、3本は横一直線に重なってしまいます。
【練習問題】③
4cmと6cmの棒があります。もう1本足して三角形を作るとき、その1本はいちばん短くて何cmですか。長さは整数とします。
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答え:3cm
足す棒が6cmより短ければ、いちばん長い辺は6cmです。すると短い2本は4cmと足す棒になるので、この2本の合計が6cmより長くなればよいことになります。
4 + 2ではちょうど6cmで、一直線に重なってしまいます。整数でいちばん短いのは、その次の3cmです。
発展問題
ここからは、この記事の知識だけでは解けない、少し手数のかかる問題です。
【発展問題】①
3cm、5cm、8cm、10cmの4本の棒があります。この中から3本を選んで、三角形を作ります。
(1) 3本の選び方は、全部で何通りありますか。
(2) そのうち、三角形が作れるのは何通りですか。
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答え:(1) 4通り (2) 2通り
(1)から見ていきます。
3本を選ぶというのは、使わない1本を決めるのと同じことです。使わない棒は3cm、5cm、8cm、10cmの4つのうちどれかなので、選び方は4通りになります。
ここでは選んだ順番は関係がなく、どの3本になったかだけを見ています。順番を考えずに選ぶ数え方(組み合わせ)です。
選んだ3本を書き出すと、次の4通りです。
- 3cm、5cm、8cm
- 3cm、5cm、10cm
- 3cm、8cm、10cm
- 5cm、8cm、10cm
つづいて(2)です。
この4通りを1つずつ、短い2本の合計と、いちばん長い1本をくらべます。
3cm、5cm、8cmは、3 + 5で8cmです。いちばん長い辺と同じ長さなので、横一直線に重なってしまい、三角形にはなりません。
3cm、5cm、10cmは、3 + 5で8cmです。10cmに届かないので、こちらも作れません。
3cm、8cm、10cmは、3 + 8で11cmです。10cmより長いので、三角形ができます。
5cm、8cm、10cmは、5 + 8で13cmです。10cmより長いので、これも三角形ができます。
作れるのは後ろの2つなので、答えは2通りになります。
くらべたのは、どの組でも短い2本の合計だけです。いちばん長い辺が入っている2本は、長い辺に何かを足した数になるので、残りの1本より短くなることがありません。調べなくても条件を満たしていると分かります。
まとめ
当たり前のように見ていた三角形ですが、辺の長さには「短い2本を足すと、いちばん長い1本を超える」という、静かなきまりがありました。
足りなければ届かず、ちょうどだと線になり、超えてはじめて三角形になります。
次に三角形を見かけたら、3つの辺の長さをこっそり足し算して、条件を満たしているか確かめてみるのも面白いかもしれません。