台形に対角線を2本引くと、4つの三角形ができます
上底が4cm、下底が6cm、高さが5cmの台形ABCDがあります。辺ADと辺BCは平行です。
ここに対角線ACとBDを引くと、2本は台形の内側で交わります。その点をOとすると、台形の中が4つの三角形に分かれます。
線を引いただけなので、台形そのものの形も広さも変わっていません。変わったのは中の見え方だけです。
この4つを、上・下・左・右と呼び分けていきます。図では上と下を青、左と右をピンクで塗り分けています。

上の三角形AODは上底ADを、下の三角形COBは下底BCを、それぞれ底辺にしています。
左の三角形AOBと右の三角形DOCは、台形の斜めの辺を1つずつ持っています。
左と右をよく見ると、形はまったく似ていません。
両どなりの2つは、面積が同じになります
見た目はかなりちがうのに、左と右の面積は同じになります。この台形では、どちらも6cm²です。
左右対称な台形をたまたま選んだから、というわけでもありません。上の図のように左右の辺の傾きがちがっていても、この関係は成り立ちます。
なぜそうなるのかを、順番に見ていきます。
まず、底辺と高さが同じ三角形をさがします
4つの三角形からいったん離れて、大きな三角形を2つ取り出します。三角形ABCと三角形DBCです。

この2つは、底辺BCを共有しています。そして辺ADと辺BCが平行なので、頂点Aから底辺BCまでの高さも、頂点Dから底辺BCまでの高さも、どちらも5cmです。
底辺が同じで高さも同じなら、面積は等しくなります。実際にどちらも6×5÷2=15cm²です。
頂点が平行線の上を動いても面積が変わらない話は、等積変形の記事で扱っています。
同じ部分を引くと、残りも同じになります
この2つの三角形は、真ん中あたりで重なっています。重なっている部分は、三角形OBCです。

三角形ABCから三角形OBCを取りのぞくと、残るのは左の三角形AOBです。
三角形DBCから同じ三角形OBCを取りのぞくと、残るのは右の三角形DOCです。
もとの大きさが同じで、取りのぞいたものも同じなら、残ったものも同じ大きさになります。
左と右の面積が等しいのは、この引き算の結果です。
ポイント
- 台形の対角線が作る両どなりの三角形は、形がちがっても面積が等しくなります。
- 理由は、底辺BCが共通で高さも等しい2つの三角形から、同じ三角形OBCを引いた残りだからです。
上と下の三角形は、拡大・縮小の関係になっています
残る上と下も見てみます。この2つは、大きさはちがうのに形がそっくりです。

辺ADと辺BCは平行なので、対角線ACがこの2本を横切ると錯角ができます。図の1本線の角がそれで、角OADと角OCBは等しくなります。
対角線BDも同じように2本の平行線を横切っているので、2本線の角、角ODAと角OBCも等しくなります。
角が2組そろえば、三角形の形は同じになります。上の三角形AODと下の三角形COBは、交点Oをはさんで向かい合うリボン型の相似です。
相似比が分かれば、面積の比も出せます
相似比は、上底と下底の比がそのまま使えます。この台形では4:6、約分して2:3です。
相似比が2:3なら面積の比は2×2:3×3で、4:9になります。

数字でも確かめられます。上と下の三角形は相似比が2:3なので、高さの比も2:3になります。台形の高さ5cmを2:3に分けると、上が2cm、下が3cmです。
上の三角形は4×2÷2=4cm²、下の三角形は6×3÷2=9cm²になります。
台形全体は(4+6)×5÷2=25cm²なので、残りの左と右を合わせると25-4-9=12cm²。左と右は等しいので、それぞれ6cm²になります。
4つを並べると、上から4、6、6、9。両どなりの6が、上の4と下の9のあいだにきれいに入る形です。
ポイント
- 上と下の三角形はリボン型の相似で、相似比は上底:下底です。
- 面積の比は相似比を2回かけた形になり、2:3なら4:9です。
- 4つの面積は4:6:6:9で、両どなりが上と下のあいだの大きさになります。
練習問題
【練習問題】①
下の図で、㋐の面積は何cm²ですか?

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答え:7cm²
底辺BCが共通で高さも等しいので、三角形ABCと三角形DBCの面積は等しくなります。そこから同じ三角形OBCを引いた残りどうしなので、左と右の面積も等しくなります。
【練習問題】②
下の図で、㋐の面積は何cm²ですか?

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答え:20cm²
上と下の三角形は相似で、相似比は上底:下底=3:6=1:2です。面積の比は相似比を2回かけた形になるので、1×1:2×2=1:4。5cm²の4倍で20cm²です。
【練習問題】③
下の図で、台形全体の面積は50cm²です。㋐と㋑の面積はそれぞれ何cm²ですか?

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答え:㋐も㋑も12cm²
台形全体から上と下を引くと、50-8-18=24cm²です。これが左と右を合わせた面積になります。左と右は面積が等しいので、24÷2=12cm²ずつです。
まとめ
台形に対角線を2本引くと、中が4つの三角形に分かれます。
両どなりの2つは、形がちがっても面積が同じです。底辺と高さが同じ三角形から、共通の部分を引いた残りどうしだからです。
上と下の2つはリボン型の相似で、相似比は上底と下底の比、面積の比はそれを2回かけた形になります。
対角線を引くだけで、平行線の性質と相似の性質が両方顔を出します。台形を見かけたら、線を2本引いて中をのぞいてみると面白いです。