三角定規の形を、正三角形にもどして考える
三角定規は2枚1組で、片方は45°・45°・90°、もう片方は30°・60°・90°の角を持っています。角度のほうは名前のように覚えているのに、辺の長さについてはあまり気にしたことがありませんでした。
ところが30°60°90°のほうの三角定規には、辺の長さにもはっきりした決まりがあります。いちばん短い辺は、いちばん長い辺のちょうど半分の長さになっています。

半分というのは、だいたいではなく本当にぴったり半分です。定規で測って確かめることもできますが、なぜそうなるのかは、正三角形を1回折るだけで見えてきます。
正三角形を半分に折ると、30°60°90°が出てくる
用意するのは、3つの辺の長さが同じ正三角形です。正三角形は3つの角がどれも60°になっています。
あとで長さも見ていきたいので、ここでは1辺が6cmの正三角形で考えます。この正三角形を、上の頂点から下の辺に向かって、左右がぴったり重なるように折ります。

折り目のところにできるのは直角です。上にあった60°は折り目で2つに分けられて30°ずつになり、下の角の60°はそのまま残ります。
残った左半分の三角形の角を並べると、30°・60°・90°。三角定規とまったく同じ組み合わせです。足すと180°になっていて、三角形の内角の和とも合っています。
折ってできた2つは、ぴったり重なる
ここで大事なのは、折ったときに左右がずれずに重なったことです。重なるということは、この2つの三角形は同じ形で同じ大きさ、つまり合同です。

合同な2つに分かれたということは、もとの正三角形の下の辺は、折り目の左と右で同じ長さに分かれています。1本の辺がちょうど2等分された状態です。
いちばん短い辺は、いちばん長い辺の半分になる
1辺6cmの正三角形で、数を入れてみます。下の辺は6cmだったので、折ったあとは3cmと3cmに分かれます。
いっぽう、斜めになっている辺は折っても切ってもいないので、もとの6cmのままです。
並べると3cmと6cm。いちばん短い辺は、いちばん長い辺のちょうど半分になっています。比で書けば1:2です。
最初に見た三角定規では、いちばん短い辺が縦を向いていました。折ってできた図では横を向いていますが、30°の向かい側にある辺がいちばん短い、という関係は変わりません。向きが変わっただけで同じ辺を見ています。
正三角形の1辺が10cmでも20cmでも、やっていることは「半分に折る」だけです。大きさに関係なく、短い辺は長い辺の半分になります。
のこりの1辺の長さはどうなるか
3辺のうち2辺は3cmと6cmと分かりました。では折り目にあたる辺はどうかというと、こちらは3cmでも6cmでもありません。
実際に測ると5.2cmくらいになりますが、この長さは小学校で習う数ではぴったり表せません。5cmでもなく5.5cmでもない、中途半端なところに落ち着きます。中学に進むと、この長さも数として書き表せるようになります。
なので、1:2という関係は「いちばん短い辺といちばん長い辺」の2つについての話です。3つの辺すべてがきれいな比になるわけではない、というところは押さえておくと混乱せずにすみます。
30°を見つけたら、正三角形にもどせる
この関係は、逆向きにも使えます。30°の角を持つ直角三角形を見つけたら、同じ三角形をもう1枚、折り目にあたる辺のところにくっつけてみます。

上の角は30°と30°で60°になり、下の辺は3cmと3cmで6cmになります。斜めの辺はどちらも6cmなので、3つの辺が6cmの正三角形にもどりました。
問題の図に30°と直角が並んでいたら、頭の中でこの正三角形を作ってみると、長い辺の半分が短い辺になると確かめられます。
ポイント
- 30°60°90°の三角形は、正三角形を半分に折った形です
- 折ってできた2つは合同なので、もとの辺はちょうど半分に分かれます
- 30°の向かい側にあるいちばん短い辺は、いちばん長い辺の半分の長さです
- 1:2は「いちばん短い辺」と「いちばん長い辺」の2つの話で、のこりの1辺はきれいな数になりません
練習問題
【練習問題】①
30°60°90°の三角形で、いちばん長い辺が10cmのとき、いちばん短い辺は何cmですか?
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答え:5cm
正三角形にもどすと1辺が10cmになり、いちばん短い辺はその辺が半分に分かれたものです。
【練習問題】②
30°60°90°の三角形で、いちばん短い辺が4cmのとき、いちばん長い辺は何cmですか?
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答え:8cm
いちばん短い辺はもとの正三角形の1辺の半分なので、4cmを2倍した長さがいちばん長い辺になります。
【練習問題】③
いちばん長い辺が6cmの30°60°90°の三角形を2枚合わせて、正三角形を作りました。この正三角形のまわりの長さは何cmですか?
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答え:18cm
2枚合わせてできるのは1辺6cmの正三角形なので、6cmが3つ分になります。
発展問題
ここからは、この記事の知識だけでは解けない、少し手数のかかる問題です。
【発展問題】①
下の図の三角形ABCは、AB=AC=8cm、角Aが30°の二等辺三角形です。点Bから辺ACに垂直な線を引き、ACと交わる点をHとします。

(1) BHの長さは何cmですか?
(2) 三角形ABCの面積は何cm²ですか?
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答え(1):4cm
まず見るのは、三角形ABHです。角Aが30°、角Hが直角なので、この三角形は30°60°90°の三角形になっています。いちばん長い辺は直角の向かい側にあるABで、長さは8cmです。30°の向かい側にあるBHがいちばん短い辺なので、長さはABの半分の4cmになります。
答え(2):16cm²
BHはACに垂直に引いた線なので、ACを底辺と見たときの高さになっています。三角形の面積は底辺×高さ÷2なので、8×4÷2=16で16cm²です。二等辺三角形ではBCを底辺と見ることが多いですが、ACを底辺にすると、高さが30°の三角形から出せる長さになります。
【発展問題】②
下の図の三角形ABCは、角Aが150°、AB=6cm、AC=8cmです。三角形ABCの面積は何cm²ですか?

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答え:12cm²
まず見るのは、角Aの150°です。辺CAをAの向こう側へまっすぐのばすと、のばした線とABの間に角ができます。直線の角度は180°なので、この角は180°−150°=30°です。
点Bから、のばした線に垂直な線を引き、交わる点をHとします。

三角形ABHは角Aが30°、角Hが直角の三角形なので、30°60°90°の三角形です。いちばん長い辺ABが6cmなので、いちばん短い辺BHは半分の3cmになります。
BHは、ACを底辺と見たときの高さです。高さが三角形の外に出ていますが、三角形の高さは図形の外にあってもかまいません。底辺が8cm、高さが3cmなので、8×3÷2=12で12cm²です。
まとめ
30°60°90°の三角形は、正三角形を半分に折った形です。折ってできた2つが合同なので、もとの1辺はきっちり半分に分かれます。
その結果、いちばん短い辺はいちばん長い辺の半分になり、1:2の関係が生まれます。三角定規の形を見ているだけでは気づきにくいのに、正三角形にもどしてみると理由がはっきりするところが面白いと思いました。
30°と直角がそろっている図を見かけたら、半分に折られた正三角形を思い出してみてください。