平行線の間にある三角形
2本の平行線の間に、三角形ABCがあります。

三角形の面積を考えるときに大事なのは、「底辺」と「高さ」です。
この図では、底辺ABが下の平行線の上にあります。高さは、頂点Cから底辺へ垂直に下ろした線の長さです。
高さと同じ長さの線が、右側にもう1本引いてあります。こちらは2本の平行線の間の距離です。平行な2本の線は、どこで垂直に測っても間の距離が同じになります。なので、頂点Cが上の平行線の上にあるかぎり、三角形の高さもこの距離と同じです。
三角形の面積は「底辺 × 高さ ÷ 2」で求められるので、底辺と高さが同じなら、形が変わっても面積は変わりません。
ここから、頂点の位置を動かして確かめてみます。
頂点を横に動かしてみる

底辺ABはそのままにして、頂点Cだけを右側へ動かしています。新しくできた三角形はABDです。点線で残っているのが、動かす前の三角形ABCです。
見た目はずいぶん変わりました。右へ移った分だけ、横に細長い形になっています。
頂点をここまで右に動かすと、頂点から底辺へ垂直に下ろした高さの線が、三角形の外側にくることもあります。図でも、高さの線がBより右に出ています。それでも、2本の平行線の間の距離であることは変わりません。
ただ、ここで注目したいのは「変わっていないもの」です。
底辺ABは動かしていないので、長さは同じです。そして高さも変わっていません。頂点は上の平行線の上を動いているだけなので、下の平行線との距離は変わらないからです。
つまり、
- 底辺は同じ
- 高さも同じ
三角形の面積は「底辺 × 高さ ÷ 2」で決まるので、面積も変わりません。
面積を変えずに形だけを変化させることを「等積変形」と呼びます。
等積変形が図形問題で役立つ理由
図形問題では、形が変わると面積も変わったように見えることがあります。ですが実際には、底辺と高さが同じままというケースがよくあります。
たとえば、台形に対角線を2本引いた図です。下の辺を底辺にすると、上の辺の両はしにある2つの頂点は、どちらも同じ平行線の上にあります。底辺が共通で高さも同じなので、この2つの頂点からできる三角形は面積が等しくなります。2つの三角形は重なっていますが、重なった部分を両方から取りのぞくと、左右に残る三角形の面積も等しくなります。
平行線が出てきたときは「高さは変わっていないのでは?」と考えてみると、複雑に見える図形でも整理しやすくなります。
面積が等しいと分かれば、計算しやすいほうの形に置きかえられます。斜めに傾いた三角形のままだと手が止まる問題でも、頂点を平行線の上で動かして、まっすぐな三角形に直してから計算する、という進め方ができます。
ポイント
- 底辺が同じです
- 高さも同じです
- なので面積も同じになります
平行線が出てきたら、まず「高さは変わっていないか?」に注目です。
練習問題
【練習問題】①
下の図で、三角形ABCと三角形ABDの面積をくらべると、どうなりますか。

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答え:同じ面積になります。
底辺ABは2つの三角形で共通で、頂点CもDも同じ上の平行線の上にあります。平行線の間の距離は変わらないので、高さも同じです。三角形の面積は底辺×高さ÷2で決まるので、底辺と高さが同じなら面積も同じになります。
【練習問題】②
下の図で、三角形ABDの面積は何cm²ですか。

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答え:12cm²です。
高さは平行線どうしの距離なので、頂点Dを右に動かして高さの線が三角形の外に出ても、4cmのままです。底辺6cm、高さ4cmなので、6×4÷2で12cm²になります。
【練習問題】③
下の図で、3つの三角形のうち、面積が等しいものはどれとどれですか。

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答え:㋐と㋑です。
3つの底辺は同じ長さです。㋐と㋑は頂点が同じ上の平行線の上にあるので、高さ(平行線の間の距離)も同じになります。底辺も高さも同じなので、面積も等しくなります。㋒は頂点が上の平行線までとどいていないので、高さが小さく、面積も小さくなります。
発展問題
ここからは、この記事の知識だけでは解けない、少し手数のかかる問題です。
【発展問題】①
下の図では、頂点Dを通ってACに平行な直線を引き、辺BCを右にのばした直線と交わる点をEとしてあります。四角形ABCDの面積は何cm²ですか。

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答え:35cm²
まず見るのは、対角線ACです。四角形ABCDは、この線で三角形ABCと三角形ACDの2つに分かれます。
三角形ACDは、ACを底辺にすると頂点がDです。点Dと点Eは、ACに平行な1本の直線の上に並んでいるので、ACからDまでの距離とACからEまでの距離は同じになります。この距離が、それぞれの三角形の高さです(図に書いてある5cmとは別の長さです)。
底辺ACが共通で高さも同じなので、底辺×高さ÷2で求めた三角形ACDと三角形ACEの面積は等しくなります。
そこで三角形ACDを三角形ACEに置きかえると、四角形ABCDの面積は、三角形ABCと三角形ACEを合わせたものと同じになります。
点B・点C・点Eは一直線に並んでいるので、この2つを合わせた形は三角形ABEです。
底辺BEは8+6で14cm、高さは頂点Aから直線BEまでの5cmです。14×5÷2で35cm²になります。
まとめ
今回は、頂点を平行線の上で横に動かしただけなので、底辺も高さも変わらず、面積もそのままでした。
これが等積変形です。形が大きく変わっても、同じ底辺に対する高さが同じなら、面積は変わりません。
複雑な面積問題に出会ったときの、ちょっとした手がかりになります。