長方形に対角線を2本引くと、どこがそろうのか
長方形ABCDに、対角線を2本引きます。

対角線ACと対角線BDは、長方形の内側で交わります。交わる点をOとします。
ここまでは平行四辺形でも同じで、平行四辺形の対角線も内側で交わります。ちがうのは、長方形には4つの直角があることです。
この記事では、対角線について2つのことを順番に調べます。
- 2本の対角線は、それぞれ真ん中で交わるのか
- 2本の対角線は、長さが等しいのか
この2つは、似ているようで別の話です。片方が分かっても、もう片方は分かりません。なので調べ方も、使う三角形も別になります。
2つがそろったときに何が起きるのかを、そのあとで見ていきます。
まず、2本の対角線は真ん中で交わる

長方形は平行四辺形の仲間です。向かい合う辺が2組とも平行なので、平行四辺形の性質をそのまま引きつげます。
そのひとつが、対角線が真ん中で交わるという性質です。
あちらの話では、交点Oのまわりにできる三角形ABOと三角形CDOを取り出していました。辺ABと辺DCが平行なので錯角が使えて、そこからこの2つが合同だと分かる、という流れです。
出てきた答えは、OAとOCが同じ長さ、OBとODも同じ長さ、の2つでした。図では印の数を1本と2本に分けて、どちらのペアかが分かるようにしています。
ここで気をつけたいのは、これが1本の対角線の中だけの話だということです。対角線ACを半分に分けた話と、対角線BDを半分に分けた話が、それぞれ出てきただけです。
対角線ACと対角線BDを並べてくらべた式は、一度も出てきません。この2本の長さが等しいかどうかは、まだ何も言えないままです。
2本の対角線は、長さもそろっている
そこで、対角線ACと対角線BDの長さをくらべてみます。ここでも三角形の合同を使いますが、取り出す三角形が変わります。

左が、さっき出てきた三角形ABOです。交点Oのまわりにできる、平たい三角形でした。
右が、これから使う三角形ABCです。長方形を対角線で半分に切った、大きいほうの三角形です。
どちらも辺ABを底にしていますが、3つめの頂点がOなのかCなのかで、これだけ大きさが変わります。同じ長方形でも、どこを取り出すかで分かることが変わってきます。

ひとつめは三角形ABCです。辺ABと辺BC、それに対角線ACで囲まれた三角形で、角Bは長方形の角なので直角になっています。

ふたつめは三角形DCBです。辺DCと辺CB、それに対角線DBで囲まれていて、角Cもやはり直角です。
この2つを見くらべると、そろっているところが3か所あります。
- 辺ABと辺DCは長方形の向かい合う辺なので、長さが等しくなっています
- 角Bと角Cは、どちらも直角です
- 辺BCと辺CBは同じ辺を両側から見ているだけなので、もちろん同じ長さです
2つの辺と、その間にある角がそろっています。この形は三角形が合同になる条件のひとつです。合同というのは、2つの図形をぴったり重ねられる関係のことです。
合同な三角形は、対応する辺の長さもそれぞれ等しくなります。三角形ABCの対角線ACと、三角形DCBの対角線DBが対応する辺なので、AC=DBです。
2本の対角線は、長さも同じでした。今度は、対角線ACと対角線BDを並べてくらべた式が出てきています。
だから交点から4つの頂点までが同じになる

材料が2つそろいました。対角線は真ん中で交わり、その2本は同じ長さです。
OAとOCは対角線ACを半分にした長さ、OBとODは対角線BDを半分にした長さです。もとのACとBDが同じなら、半分どうしも同じになります。
つまりOA=OB=OC=ODで、交点から4つの頂点まで、どれも同じきょりです。
対角線が10cmの長方形なら、Oから4つの頂点まではどれも5cmになります。細長い長方形でも正方形に近い長方形でも、この関係は変わりません。
ここで、2つとも本当に必要だったのかを確かめておきます。えんぴつを2本使うと試せます。
同じ長さのえんぴつを2本、机の上で交差させてみます。長さは等しいままですが、交わる場所ははしのほうにも寄せられます。長さが等しいというだけでは、真ん中で交わることは出てきません。
反対に、2本を真ん中どうしで交差させたときは、長さのほうが自由になります。片方だけ長くてもかまいません。真ん中で交わるというだけでは、長さが等しいことは出てきません。
どちらか一方から、もう一方が出てくることはありませんでした。だから合同も2回使うことになります。
平行四辺形ではこうならない

かたむいた平行四辺形でも、対角線は真ん中で交わります。ここは長方形と同じです。
でも2本の対角線を見ると、長さがはっきり違っています。辺の長さを変えずにかたむけていくと、かたむきが大きいほど差は開きます。
そこで、さっきの2つの性質を平行四辺形でもそろえてみます。
ひとつめは手に入ります。三角形ABOと三角形CDOの合同には、直角がひとつも出てきませんでした。使ったのは平行と錯角だけなので、かたむいた平行四辺形でもそのまま成り立ちます。
問題はふたつめです。三角形ABCと三角形DCBのほうを、平行四辺形でやってみます。

左が三角形ABC、右が三角形DCBです。さっきの3か所を、順にくらべていきます。
辺ABと辺DCは、平行四辺形でも向かい合う辺なので長さが等しくなります。辺BCと辺CBは同じ辺なので、こちらも等しいです。ここまでは長方形と変わりません。
そろわないのは、残る角Bと角Cです。長方形ではどちらも直角でしたが、図では角Bのほうが小さく、角Cのほうが大きくなっています。
この2つは、辺BCをはさんでとなり合った角です。

平行な2本の線にはさまれた内側で、同じ側にある2つの角は、たすと180°になる決まりがあります。辺ABと辺DCが平行なので、角Bと角Cもこの決まりにあてはまります。
たして180°の2つをそろえようとすると、両方とも90°にするしかありません。ところが両方が90°になった四角形は、もう長方形です。
そろえた瞬間に長方形になってしまうので、かたむいた平行四辺形のままでは、この2つの角がそろうことはありません。
2つの辺は等しくても、その間の角がそろわないので、三角形ABCと三角形DCBは合同になりません。合同でなければ、対角線ACと対角線DBの長さが等しいとも言えません。
ふたつめがそろわないので、交点から4つの頂点までのきょりも2種類に分かれます。長いほうの対角線の半分と、短いほうの対角線の半分です。
4つとも同じになるのは、角が直角にそろっている長方形(正方形もふくみます)だけの話でした。
4つの頂点は、1つの円の上に並ぶ

交点から4つの頂点まで同じきょり、というのは、言いかえると円の中心と円周の関係そのものです。
円は、中心から同じきょりにある点を集めた形でした。
そこでOにコンパスの針を置き、鉛筆をAに合わせて回してみます。すると円はB、C、Dも通ります。4つの頂点が、ぴったり円周にのります。
紙に長方形をかいて実際に回してみると、思ったより気持ちよく重なります。
ポイント
- 長方形の対角線は真ん中で交わります。三角形ABOと三角形CDOが合同になるためで、平行四辺形から引きついだ性質です。
- 2本の対角線の長さも等しくなります。直角があるおかげで、三角形ABCと三角形DCBが合同になるためです。
- この2つは別の性質です。どちらか一方から、もう一方が出てくることはありません。使う三角形もちがうので、合同を2回使うことになります。
- 2つがそろうと、交点から4つの頂点までがすべて同じきょりになります。
- かたむいた平行四辺形では2つめがそろわないので、交点からのきょりも2種類に分かれます。
- 交点を中心に円をかくと、4つの頂点が円周にのります。
練習問題
【練習問題】①
長方形ABCDの対角線ACの長さは14cmです。2本の対角線が交わる点をOとするとき、OBの長さは何cmですか?
タップで答えを見る
答え:7cm
BDはACと同じ長さなので14cmです。
OはBDの真ん中にあるので、OBはその半分の7cmになります。
【練習問題】②
長方形ABCDの対角線が交わる点をOとするとき、三角形OABはどんな三角形になりますか?
【練習問題】③
平行四辺形ABCDの対角線が交わる点をOとしたら、OAが3cm、OBが5cmでした。この四角形は長方形といえますか?
タップで答えを見る
答え:いえません
長方形なら、交点から4つの頂点まで4本とも同じ長さになります。
3cmと5cmに分かれている時点で、この四角形は長方形ではないと分かります。
まとめ
長方形の対角線には、2つの性質が重なっています。平行四辺形から受けついだ「真ん中で交わる」と、直角のおかげで手に入る「長さが等しい」です。
別々の合同から、別々の性質が分かる、ということでもあります。交点まわりの小さい三角形からは真ん中で交わることが、長方形を半分に切った大きい三角形からは長さが等しいことが出てきました。
この2つがそろうと、交点から4つの頂点までが全部同じきょりになります。円がきれいに重なるのも、もとをたどればこの2つです。
図の上では4本が同じというだけの話ですが、そこにたどり着くまでに使ったのは、平行四辺形の性質と三角形の合同でした。長方形の中に、これまで見てきた図形の話がそのまま入っています。