円周率が「3.14」なのはなぜ?
円のまわりの長さを「円周」といいます。直径10cmの円なら、円周は「10 × 3.14 = 31.4cm」になります。
ところで、この「3.14」という数はどこから来たのでしょうか。「3」でも「4」でもなく、なぜ「3.14」なのか。
実はこの数、昔の人が図形を使って地道に追い詰めていった数だったんです。
円のまわりは定規で測れない
四角形であれば、辺がすべて直線なので定規をあてれば長さを測れます。
ところが円は、外側がすべて曲線です。定規をあてても、曲線にぴったり沿わせることができません。
そこで昔の人が考えたのが、「直線だけでできた図形を円に近づけていく」という方法です。
円の内側に正六角形を入れてみる
まず、円の内側に正六角形を入れてみます。

中心からそれぞれの頂点に線を引くと、正六角形は6つの三角形に分かれます。中心から各頂点までの長さはすべて半径で等しく、360°を頂点の数(6つ)で等分するので、中心角は 360 ÷ 6 = 60°です。頂角が60°の二等辺三角形、つまり正三角形になります。
そのため、正六角形の1辺の長さ=半径と確定できます。
このとき、正六角形の周の長さを直径で割ってみると、
正六角形の周 ÷ 直径 = 3.000
になります。円周率に近い数が出てきました。
ただし、正六角形の周の長さは円周より少し短くなります。辺が直線のため、円の曲線を完全にはなぞれないからです。では、頂点の数を増やしたらどうなるでしょうか。
頂点を増やすほど、円に近づく
正12角形にしてみます。

正六角形よりも、円の形に近づいてきました。周の長さを直径で割ると、正12角形の周 ÷ 直径 ≈ 3.106(この計算には、小学校の範囲を超えた知識が必要になります)
さらに正24角形にしてみます。

ここまでくると、円とほとんど重なって見えます。
正24角形の周 ÷ 直径 ≈ 3.133(同じく、小学校の範囲を超えた計算になります)
正六角形の3.000から、3.106、3.133と、3.14に近づいてきているのが分かります。頂点の数を増やせば増やすほど、多角形の周の長さは円周に近づいていきます。
外側からも囲ってみる
ただ、内側から近づけるだけでは「円周がどのくらいの大きさなのか」の上限がわかりません。
そこで、円の外側にも多角形を作ります。

外側の多角形は円全体を囲んでいるため、周の長さは必ず円周より長くなります。
つまり、
- 内側の多角形の周 ÷ 直径 → 円周率より小さい
- 外側の多角形の周 ÷ 直径 → 円周率より大きい
という関係になります。頂点を増やすにつれて、この「小さい側」と「大きい側」の差が縮まっていきます。こうして「この値より大きく、あの値より小さい」という形で範囲を少しずつ絞り込み、円周率の値を追い詰めていったのです。
アルキメデスは正96角形まで使った
古代ギリシャの数学者アルキメデスは、実際にこの方法で円周率を求めています。
正多角形の辺の数を 6 → 12 → 24 → 48 → 96 と2倍ずつ増やしながら計算を重ね、
「円周率は3.1408より大きく、3.1429より小さい」
という結論を出しました。コンピューターも電卓もない時代の話です。計算の地道さを想像すると、少し気が遠くなります。
ポイント
- 円周率「3.14」は、多角形で円周を内側・外側から挟み込むことで求められた
- 内側の多角形の周 ÷ 直径は円周率より小さく、外側は円周率より大きい
- 頂点を増やすほど、その差が縮まっていく
- アルキメデスは正96角形まで使い、3.1408〜3.1429と絞り込んだ
まとめ
「3.14」という数は、誰かが決めたものでも、偶然見つかったものでもありません。
内側と外側から多角形で円周を挟み込み、少しずつ値を絞り込んでいった結果として出てきた数です。
本当の円周率は「3.1415926535…」と限りなく続きます。小学校では「3.14」と丸めて使っていますが、その裏には昔の人たちの地道な計算の積み重ねがあったわけです。