計算を楽にする分配法則のしくみ
12 × 15 を暗算で出してください、と言われたら、ちょっと手が止まるかもしれません。
ところが、12 を「10 と 2」に分けてから、それぞれに 15 をかけてみると、10 × 15 = 150、2 × 15 = 30。合わせて 180 と、すっと答えが出ます。
かけ算の形を書き換えただけなのに、答えは変わっていません。この「かけ算の片方を分けても結果が同じになる」という性質が、分配法則です。
なぜこれがうまくいくのか、長方形の面積で確かめてみます。
かけ算を分けて計算する
かけ算の答えは、長方形の面積として見ることができます。
12 × 15 なら、「横 12、たて 15 の長方形の面積」です。
ここで、横の 12 を 10 と 2 に分けてみます。

大きな長方形が、2 つの長方形に分かれました。
左側は 10 × 15 = 150、右側は 2 × 15 = 30。
2 つの面積を足すと、150 + 30 = 180 になり、もとの 12 × 15 と同じ答えです。
横幅を分けただけなので、面積の合計は変わりません。これが分配法則のしくみです。式を書き換えているように見えますが、同じ面積を別の分け方で表しているだけなんですね。
12 × 15 =(10 + 2)× 15 = 10 × 15 + 2 × 15 = 150 + 30 = 180
引き算の方向でも使える
分配法則は、「足して分ける」だけでなく「引いて分ける」こともできます。
たとえば 99 × 6。99 のまま計算するのは少し面倒ですが、100 から 1 を引いた数だと考えると、話が変わります。

面積図で見ると、横 100、たて 6 の大きな長方形から、右端の横 1、たて 6 の部分を取り除いた残りが 99 × 6 です。
100 × 6 = 600 から、1 × 6 = 6 を引いて、600 − 6 = 594。
99 × 6 =(100 − 1)× 6 = 100 × 6 − 1 × 6 = 600 − 6 = 594
キリのいい数に近い計算では、この「引いて分ける」方法がとても使いやすくなります。
数字が変わっても同じこと
ここまで 12 × 15 と 99 × 6 の 2 つで確かめましたが、これはどんな数の組み合わせでも成り立ちます。
かけ算の片方を 2 つの数に分けて、それぞれをかけてから足す(または引く)。面積図で考えれば、長方形を分割しているだけなので、合計が変わるはずがありません。
「かけ算を分けても、結果は同じになる」。この性質が分配法則です。計算しやすい数に分けることで、暗算がぐっと楽になります。
ポイント
- かけ算の片方を分けてからかけても、答えは変わりません。これが分配法則です。
- 「足して分ける」方法と「引いて分ける」方法の 2 つがあります。
- 長方形の面積図で見ると、横幅を分けただけなので合計が変わらないことが確認できます。
練習問題
【練習問題】①
分配法則を使って、13 × 6 を計算してください。
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答え:78
13 を 10 と 3 に分けると、10 × 6 = 60、3 × 6 = 18 になります。60 + 18 = 78 です。
【練習問題】②
分配法則を使って、98 × 5 を計算してください。
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答え:490
98 は 100 − 2 と見ることができます。100 × 5 = 500、2 × 5 = 10 なので、500 − 10 = 490 です。
【練習問題】③
49 × 6 を、工夫して計算してください。
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答え:294
49 は 50 − 1 と見ると計算しやすくなります。50 × 6 = 300、1 × 6 = 6 なので、300 − 6 = 294 です。
発展問題
ここからは、この記事の知識だけでは解けない、少し手数のかかる問題です。
【発展問題】①
次の計算を、くふうして求めてください。
(1) 3.14 × 7 + 3.14 × 13
(2) 3.14 × 7 + 3.14 × 13 + 6.28 × 15
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答え:(1) 62.8 (2) 157
(1) まず目につくのは、2 つのかけ算のどちらにも 3.14 が入っているところです。
3.14 の筆算を 2 回やる代わりに、3.14 × 7 + 3.14 × 13 を 3.14 ×(7 + 13)とまとめます。7 + 13 = 20 なので、3.14 × 20 = 62.8 になります。
面積図で見ると、たて 3.14 の長方形が、横 7 と横 13 で 2 つ並んでいる形です。となりどうしをくっつければ横 20 の長方形 1 つになるので、分けるときと同じ話を反対から見ているだけです。
(2) 3 つ目の 6.28 × 15 は、そのままでは 3.14 の仲間に入れられません。ここでは 6.28 が 3.14 の 2 つ分であることに気づけるかどうかが分かれ目になります。
6.28 × 15 = 3.14 × 2 × 15 = 3.14 × 30 と書きかえられます。(1) で出した 3.14 × 20 と合わせると、3.14 ×(20 + 30)= 3.14 × 50 = 157 です。
3.14 は円周率で、円の面積や円周の計算では何度も出てきます。かけ算は順番を入れかえても答えが変わらないので、6.28 × 15 を 3.14 ×(2 × 15)と見直しても問題ありません。3.14 が並ぶ式を見つけたら、まとめてから 1 回だけかける形にできないかを探すと計算が軽くなります。
まとめ
分配法則は、「かけ算の片方を分けてからかけても、答えは変わらない」という性質でした。
長方形の面積図で見ると、横幅を分割しているだけなので、部分の面積を足せば全体と同じになります。
「足して分ける」と「引いて分ける」の 2 つの方向があって、計算しやすいほうを選べるのが便利なところです。
この先、もっと大きな数や小数の計算でも、分配法則の考え方は同じように使えます。