損益算は「値段の段階」を順番に追えば整理できる
品物を売るお店では、仕入れた値段のまま売るわけではありません。仕入れた値段を原価といい、そこに利益を見込んで定価をつけ、ときには値引きして売ります。この「原価→定価→売値」という値段の段階を、順番に追いかけていくのが損益算です。一度にまとめて考えようとすると、どこをもとにした割合なのかで混乱しがちですが、段階ごとに区切れば、何が変わって何がもとになっているかが見えてきます。
原価・定価・売値・利益のことば
損益算に出てくる言葉を、先に整理しておきます。
原価は、お店が品物を仕入れたときの値段です。仕入れ値ともいいます。
定価は、その原価に利益を見込んで(もうけを入れて)つけた、売るための値段です。
売値は、実際に売ったときの値段です。定価のまま売ることもあれば、値引きして売ることもあります。
利益は、売値から原価を引いた残り、つまりお店のもうけです。売値 − 原価で求められます。
原価・定価・売値が帯でどう並ぶかを見てみます。

原価をもとに利益をのせると定価になり、その定価から値引きすると売値になります。段が上がるごとに、もとにする値段が入れかわっているのがポイントです。
「もとにする量」は場面ごとに変わる
損益算でいちばん迷いやすいのが、「〜割」といったときに、何をもとにした割合なのか、という点です。
「原価の2割の利益」というときは、原価をもとにした2割です。
「定価の1割引き」というときは、定価をもとにした1割です。
同じ「1割」でも、もとにする値段がちがえば、金額もちがってきます。原価500円の1割は50円ですが、定価600円の1割は60円です。
割合が出てきたら、まず「これは何をもとにした割合か」を確かめるようにすると、混乱しにくくなります。割合そのもの、つまり何をもとにするかや、「割」や「%」の表し方があいまいなままだと、損益算でもつまずきやすくなります。
例で順番にたどってみる
実際に、原価500円の品物で順番にたどってみます。

まず定価です。原価の2割の利益を見込むとすると、利益は原価をもとに、500 × 0.2 = 100円(2割は、もとを10等分した2つ分なので0.2倍です)。これを原価にのせて、500 + 100 = 600円が定価です(500 × 1.2 = 600円と一度に出しても同じです)。
次に売値です。この定価の1割引きで売るとすると、値引きは定価をもとに、600 × 0.1 = 60円。定価から引いて、600 − 60 = 540円が売値です(600 × 0.9 = 540円でも同じです)。
最後に利益を出します。利益は売値から原価を引いて、540 − 500 = 40円です。
定価をつけるときは100円の利益を見込んでいましたが、途中で値引きをしたぶん、実際に残る利益は40円に減っています。見込んだ利益と、売ったあとの利益はちがう、というのも損益算の面白いところです。
最後に、計算が合っているか確かめてみます。原価500円の品物が540円で売れたので、たしかに40円ぶん多く受け取っていて、ぴったり合っています。
ポイント
損益算の考え方
- 値段は原価→定価→売値の順に決まります。原価に利益をのせて定価、定価から値引きして売値です。
- 利益の割合は原価をもと、値引きの割合は定価をもとにします。「何をもとにした割合か」を先に確かめます。
- 利益は売値から原価を引いた残りです。値引きをすると、見込んだ利益より実際の利益は少なくなります。
練習問題
【練習問題】①
原価800円の品物に、原価の3割の利益を見込んで定価をつけました。定価はいくらですか。
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答え:1040円です。
利益は原価をもとに考えるので、800 × 0.3 = 240円が利益です。これを原価にのせて、800 + 240 = 1040円になります(800 × 1.3 = 1040円と一気に出しても同じです)。
【練習問題】②
定価1200円の品物を、定価の2割引きで売りました。売値はいくらですか。
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答え:960円です。
値引きは定価をもとに考えるので、1200 × 0.2 = 240円が値引き分です。定価から引いて、1200 − 240 = 960円になります(1200 × 0.8 = 960円でも同じです)。
【練習問題】③
原価600円の品物に2割の利益を見込んで定価をつけ、その定価の1割引きで売りました。利益はいくらですか。
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答え:48円です。
まず定価は原価をもとに、600 × 1.2 = 720円。売値は定価をもとに、720 × 0.9 = 648円。利益は売値から原価を引いて、648 − 600 = 48円です。値引きをしても売値が原価より高いので、利益はちゃんと残っています。
発展問題
ここからは、この記事の知識だけでは解けない、少し手数のかかる問題です。
【発展問題】①
1個400円で60個仕入れた品物に、原価の5割の利益を見込んで定価をつけ、定価の1割引きで売ることにしました。売れ残った品物からは、お金は入らないものとします。
(1) 60個すべて売れたとき、利益はいくらですか。
(2) 実際には売れ残りが出て、利益は3000円でした。売れたのは何個ですか。
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答え:(1) 8400円 (2) 50個
(1) まず1個あたりの値段を、原価→定価→売値の順にたどります。定価は原価をもとに、400 × 1.5 = 600円です。売値は定価をもとに、600 × 0.9 = 540円です。1個売れるごとの利益は、540 − 400 = 140円なので、60個すべて売れたときの利益は、140 × 60 = 8400円です。
(2) 最初に見るのは、(1)で出した「すべて売れたときの利益8400円」と、実際の利益3000円との差です。
仕入れの代金は、売れても売れなくても60個分をもう払っています。そのため、1個売れ残るごとに、入るはずだった売値540円がそのまま入らなくなり、利益は540円ずつ減ります。利益は8400 − 3000 = 5400円減っているので、売れ残りは5400 ÷ 540 = 10個です。売れたのは、60 − 10 = 50個です。
このように、全部うまくいった場合を先に考えて、実際との差を1個あたりの差でわる考え方は、つるかめ算と同じ形です。
売れた個数から確かめてみると、売上は540 × 50 = 27000円、仕入れの代金は400 × 60 = 24000円で、利益は27000 − 24000 = 3000円になり、問題の条件と合っています。
まとめ
損益算は、原価→定価→売値という値段の段階を、順番に追いかけていけば整理できます。
迷いやすいのは割合のもとが入れかわるところですが、利益は原価をもと、値引きは定価をもと、と決まっているので、そこさえ確かめれば混乱しません。
新しい問題に出会ったら、いきなり答えを出そうとせず、まず原価をもとに定価から、一段ずつたどってみてください。