円に1点だけで触れる線には、かくれたルールがあります
円のまわりに、円周上の1つの点を通る直線を引いてみます。
同じ点を通しても、線のかたむきを変えると、円との交わり方が変わります。
ある線は円を突きぬけて、2つの点で交わります。
でも、あるかたむきのときだけ、その点1つでそっと触れて、円の中に入らずに通りすぎます。
この「1点だけで触れる線」を接線といいます。
接線には、知っておくと得をするルールがあります。それは、接線が「その接点を通る半径」と必ず直角に交わる、というものです。今回はその理由を、図と一緒に考えていきます。
線のかたむきを変えると、交わる点の数が変わる
まず、円周上の点Aを通る直線を、かたむきを変えながら何本か引いてみます。

青い線は、Aのほかにもう1つの点でも円と交わっています。円を突きぬけて、2点で交わっているわけです。
赤い線だけは、Aの1点でしか円に触れていません。円の中に入らずに、ふちにそって通りすぎています。
この赤い線が接線です。同じ点Aを通っていても、赤い線だけが特別なかたむきになっています。
「直角じゃない」と考えると、おかしなことが起こる
接線が半径と直角になっていることを、反対から確かめてみます。
「もし直角じゃなかったら、どうなるか」を考えて、おかしなことが起きれば、「やっぱり直角しかない」と分かるからです。
円の中心をO、接点をAとします。半径OAが接線と直角じゃない、と仮に考えてみます。
そのとき、中心Oから接線へ、まっすぐ直角に下ろした点をHとします。直角じゃないと仮定したので、このHは接点Aとは別の場所になります。

次に、接線の上で、Hをちょうどはさんで反対側に、Aとおなじ距離だけはなれた点をA'とします。図の赤い線の先の点です。
ここで、2つの三角形OAHとOA'Hをくらべます。
- OHは、どちらの三角形にも共通の辺です。
- AHとA'Hは、おなじ長さになるようにA'をとりました。
- HのところはどちらもOHが接線に直角なので、90°で同じです。
2つの辺の長さと、そのあいだの角が同じなので、この2つの三角形はぴったり重なります。三角形がこのように重なることを合同といいます。
ぴったり重なるということは、残りの辺OAとOA'も同じ長さだ、ということです。
だから、半径と接線は直角になる
OAは半径でした。三角形が重なってOA'もそれと同じ長さなので、A'も中心Oから半径のきょりにある点です。
中心から半径のきょりにある点は、円周の上にあります。そのため、A'も円周の上にのってしまいます。
でも、A'は接線の上の点でもあります。
つまり接線が、円とAとA'の2つの点で交わっていることになります。
これはおかしいです。接線は、1点だけで触れる線のはずでした。それなのに、2点で交わってしまいました。
おかしくなった原因は、はじめに「半径と接線は直角じゃない」と考えたことです。この考えがまちがっていた、ということになります。
なので、接線は接点を通る半径と直角に交わっています。

直角のときは、Hと接点Aがぴったり重なります。すると反対側にできるはずのA'もAと同じ場所になり、2つ目の交わる点はできません。1点だけで触れる、という接線の形になります。
ポイント
- 円に1点だけで触れる直線を接線といいます。
- 接線は、その接点を通る半径と必ず直角(90°)に交わります。
- もし直角でないと、接点の反対側にもう1つ交わる点ができてしまい、1点だけで触れる接線になりません。
練習問題
【練習問題】①
下の図で、直線は円の接線です。半径OAと接線がつくる角㋐は何度ですか?

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答え:90°
接線は、接点を通る半径と必ず直角に交わります。だから、半径OAと接線がつくる角は90°になります。
【練習問題】②
下の図で、直線は円の接線です。半径OAと直線がつくる角㋐は何度ですか?

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答え:50°
接線は接点を通る半径と直角に交わるので、半径OAと接線がつくる角は全体で90°です。図では、その90°のうち40°の部分が分かっているので、残りの㋐は90−40=50°になります。
【練習問題】③
下の図で、A・Bは円周上の点で、OAとOBはどちらも円の半径です。角AOBは50°です。三角形OABで、角OAB(㋐)は何度ですか?

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答え:65°
OAとOBはどちらも半径なので、長さが同じです。長さの同じ2つの辺でできる二等辺三角形なので、角OABと角OBAは同じ大きさになります。三角形の内角の和は180°なので、この2つの角を合わせると180−50=130°です。同じ大きさが2つ分なので、角OABは130÷2=65°になります。
発展問題
ここからは、この記事の知識だけでは解けない、少し手数のかかる問題です。
【発展問題】①
下の図で、直線PAとPBは点Pから円に引いた接線で、A・Bは接点、Oは円の中心です。角APBが40°のとき、角㋐は何度ですか?

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答え:140°
まず見るのは、接点のAとBです。
OAとOBは、それぞれ接点を通る半径です。接線は接点を通る半径と必ず直角に交わるので、角OAPと角OBPはどちらも90°です。
次に、O・A・P・Bの4つの点を結んだ四角形OAPBを見ます。四角形の内角の和は360°なので、4つの角を合わせると360°になります。
分かっている角は、Aの90°、Bの90°、Pの40°です。残りの㋐は、360−90−90−40=140°になります。
図に直角の印は書かれていませんが、「接線と半径」の組み合わせを見つけると、かくれていた90°が2つ出てきます。
【発展問題】②
下の図のように、辺の長さが3cm・4cm・5cmの直角三角形ABCの中に、3つの辺すべてに接する円があります。円の中心をOとします。

(1) 三角形ABCの面積は何cm²ですか?
(2) 円の半径は何cmですか?
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答え:(1) 6cm² (2) 1cm
(1) 角Cが直角なので、CAを底辺にするとBCがそのまま高さになります。三角形の面積は底辺×高さ÷2なので、4×3÷2=6cm²です。
(2) まず、中心Oから3つの辺の接点に向かって、半径を1本ずつ引いてみます。
円は3つの辺すべてに接しているので、この3本の半径は、どれも接点で辺と直角に交わります。つまり、それぞれの辺を底辺としたときの「高さ」になっています。
ここで、Oと三角形の3つの頂点を結ぶと、三角形ABCは三角形OBC・OCA・OABの3つに分かれます。3つとも高さは円の半径で、底辺はそれぞれ3cm・4cm・5cmです。
3つの三角形の面積をまとめると、(3+4+5)×半径÷2=12×半径÷2=6×半径になります。
3つの三角形を合わせると三角形ABCになるので、この面積は(1)で出した6cm²と等しくなります。6×半径=6なので、半径は1cmです。
まとめ
円に1点だけで触れる線が接線で、接線は接点を通る半径と必ず直角に交わる、というのが今回のルールでした。
理由は、もし直角じゃないと、接点をはさんだ反対側にもう1つ交わる点ができて、1点だけで触れる接線ではなくなってしまうから、というものでした。
円の問題で接線が出てきたら、まず接点と中心を半径で結んで、そこに直角の印を書きこんでみてください。それだけで、かくれていた角がいくつも見えてくることがあります。