4つの辺をそろえるだけで、対角線は直角に交わる

4つの辺の長さがすべて等しい四角形を、ひし形といいます。
角度を変えれば、細長くも横広にもなります。それでも「4つの辺が等しい」という条件だけは変わりません。
図のように対角線を2本引くと、交わったところに4つの角ができます。
この4つの角は、どんなひし形でも必ず直角(90度)になります。
辺の長さをそろえただけなのに、なぜぴったり90度になるのでしょうか。
対角線でできる三角形に注目する

先に、ひし形の立ち位置を確かめておきます。
4つの辺が等しいと、向かい合う辺は自然と平行になります。辺をそろえるだけで平行になる理由は、ひし形の定義を確かめたときに整理しました。
向かい合う辺が2組とも平行なので、ひし形は平行四辺形の仲間になります。
平行四辺形には、対角線がそれぞれ真ん中で交わるという性質があります。ひし形もその仲間なので、この性質をそのまま使えます。
対角線ACとBDが交わる点をOとすると、対角線はそれぞれ真ん中で交わるので、BO=DOになります。図の二重線が、その等しさを表しています。
ここで、三角形ABOと三角形ADOを比べます。
- ひし形なので、4つの辺はすべて等しい(AB=AD)
- 対角線は真ん中で交わる(BO=DO)
- AOは2つの三角形で共通している(図の赤い線)
3つの辺の長さがそれぞれ同じなので、この2つの三角形はぴったり重なります。合同な三角形です。
180度を同じ大きさで分ける

合同な三角形では、対応する角の大きさも同じになります。
三角形ABOと三角形ADOで対応しているのは、点Oのところにある角どうしです。つまり、角AOBと角AODは同じ大きさになります。図の2つの弧に付いた印が、その等しさを表しています。
ここで、対角線BDに注目します。DからOを通ってBまでは一直線なので、その上に並ぶ角を合わせると180度になります。
その180度を、同じ大きさの角2つで分けていることになります。
180度 ÷ 2 = 90度
角AOBも角AODも90度です。対角線は、ちょうど直角で交わっていました。
残りの2つの角も同じです。角AOBが90度なら、そのとなりの角BOCは180から90を引いて90度になります。交点にできる4つの角は、どれも直角です。
出発点にしたのは「4つの辺が等しい」という条件だけです。そこから平行四辺形の性質を使って進めてきましたが、角度については何も決めていません。だから細長いひし形でも、横に広いひし形でも、対角線は必ず直角で交わります。
ポイント
- ひし形は、4つの辺の長さがすべて等しい四角形です。
- 4つの辺が等しいことで向かい合う辺が平行になり、ひし形は平行四辺形の仲間になります。
- 対角線で分けた2つの三角形は、3つの辺がそれぞれ等しいので合同です。
- 一直線の180度を同じ大きさの角2つで分けるので、対角線は90度で交わります。
練習問題
【練習問題】①
下の図のひし形で、㋐は何度ですか?

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答え:90度
ひし形の2本の対角線は垂直に交わるので、交わる点にできる角は90度になります。
【練習問題】②
下の図のひし形ABCDで、㋐は何度ですか?

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答え:40度
対角線BDで分けてできる三角形ABDと三角形CBDは、AB=CB、AD=CD、BDが共通なので合同です。
対応しているのは点Bのところにある角どうしなので、角ABDと角CBDは同じ大きさになります。角ABCはこの2つに分かれているので、80÷2で40度です。
【練習問題】③
下の図のひし形ABCDで、㋐は何度ですか?

発展問題
ここからは、この記事の知識だけでは解けない、少し手数のかかる問題です。
【発展問題】①
下の図のひし形ABCDで、1辺の長さは8cm、角ABCの大きさは120度です。2本の対角線が交わる点をOとします。

(1) 角BAOは何度ですか?
(2) 対角線BDの長さは何cmですか?
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答え:(1) 30度 (2) 8cm
(1)は、角ABCが対角線BDで2つに分かれているところから始めます。
ひし形を対角線BDで分けると、三角形ABDと三角形CBDができます。AB=CB、AD=CD、BDは共通なので、この2つは合同です。対応する角ABDと角CBDは同じ大きさになるので、120を2つに分けて60度です。
次に交点Oを見ます。ひし形の対角線は垂直に交わるので、角AOBは90度です。
三角形ABOの角が2つ決まったので、三角形の内角の和は180度を使って、180から90と60を引いて30度になります。
(2)では、(1)で求めた30度を使います。角ABOが60度、角AOBが90度なので、三角形ABOの角は30度・60度・90度です。
この形は正三角形を半分に折った形なので、いちばん短い辺がいちばん長い辺の半分になります。30度の向かい側にあるBOがいちばん短い辺、90度の向かい側にあるABがいちばん長い辺なので、BOは8÷2で4cmです。
ひし形は平行四辺形の仲間で、対角線はそれぞれ真ん中で交わるので、BDはBOの2倍の8cmです。
【発展問題】②
下の図のひし形ABCDで、2本の対角線の長さは12cmと16cm、1辺の長さは10cmです。頂点Cから辺ABに垂直に引いた線が、辺ABと交わる点をEとします。CEの長さは何cmですか?

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答え:9.6cm
最初に見るのは2本の対角線です。ひし形の対角線は垂直に交わるので、面積は「対角線×対角線÷2」で求められます。12×16÷2で、面積は96cm²です。
次に、同じ面積をもう1つの見方で出します。ひし形は平行四辺形の仲間なので、面積は「底辺×高さ」でも求められます。辺ABを底辺と見ると、垂直に引いたCEがそのときの高さになります。
底辺10cmとCEをかけて96になるので、96÷10でCEは9.6cmです。
まとめ
ひし形の出発点は「4つの辺が等しい」という条件だけでした。
そこから向かい合う辺が平行になり、平行四辺形の仲間として、対角線が真ん中で交わります。真ん中で交わるおかげで、対角線が分けた2つの三角形は3つの辺がそろい、合同になります。
合同な三角形の対応する角は等しいので、一直線の180度が同じ大きさの2つに分けられて、90度が出てきます。
角度を1つも決めていないのに直角が現れるのは、形が変わっても変わらない性質が、辺の条件だけで決まっているからです。
そして、この直角があるおかげで、ひし形の面積は「対角線×対角線÷2」で求められます。垂直に交わるという性質は、面積の公式にそのままつながっています。